ゴルフコースの現状と課題 2023年5月発行の会報「Atmosphere vol.01 コースメンテナンスのはなし」でご報告致しました、コース各所の課題に関する、対応の進捗をご報告致します。
新設コースである東京クラシッククラブにおいては、日常メンテンナンスに加え、多くの改善作業が必要となりますが、これらの対処を行うため、ニクラウス・デザイン社のアドバイスを受けつつ、最高のコースコンディションを提供するべく努力してまいります。
具体的なベンチマークとして、グリーンスピード平均10.5フィート、フェアウェイ刈高10mmを目指し、中長期的にこのベンチマークを維持できるコース環境を創ってまいりますので、メンバー各位におかれましても、引き続きご理解ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
以下に、それぞれの具体的な課題と対応方法をご説明します。
■グリーン
グリーンのクオリティアップのための日常的な対応として、①施肥量のコントロールを気候やその時の芝の状態を細目にチェックし、継続的に調整を行うように変更し、継続をしております。②またグリーンの刈込頻度を1日1回から、朝夕の2度刈りに増やせる人員体制を整えました。これらにより、昨年より芝生密度が向上しており、継続して実施して参ります。
開場後の一時期、粒度の小さい砂を目砂に使用していたため、グリーンの床に一部細かすぎる砂の層が形成されて、透水性を損ない状態の悪さが目立っておりましたが、造成当初と同じ粒度の砂に変更し、更なる透水性の低下が起こらないようにしております。
今後も毎年2~3回程度のコア抜きエアレーションと播種(インターシディング)、定期的な目砂散布を行い、透水性を上げることで、高温多湿の天候にも対応したグリーン造りを目指します。
これらの対応を開始していたため、芝にとっては非常に厳しい気候であった今年の夏においても、グリーンへの影響は最小限に抑えられたと考えております。
また、グリーン外周のベント芝と高麗芝の境界線の正常化については、カラーの外周に設置してあるプラスチックシートの位置を把握し、元のグリーン形状に戻す計画を立てております。今年度に造成したナーセリーが使用できるようになる来年の春過ぎ頃から順次芝張替えの工事を開始する予定です。これにより、一部のグリーン外周部分の芝の状態が悪い部分が改善されます。
■ティイングエリア・フェアウェイ
蓄積されたサッチ(土中の有機残さ蓄積物)層の影響により肥料の効き方や水の地下浸透を妨げ、病虫害の発生が多く見られていたため、コア抜きエアレーションを毎年1~2回の定期的な実施を図って参ります。
これまで特にティー面の状態が悪かった6番、8番、14番ティーは、今年の春に拡幅と床土の入れ替え工事を行いました。工事後の経過は大変順調で、良好なティー面となりました。
排水不良個所の解消については、6番ホールグリーン手前右の排水不良個所について、暗渠排水を設置したことで状態は大きく改善されました。今後も優先順位をつけ、暗渠排水の設置を継続してまいります。
間伐及び枝払いによる日当たりの改善については、2番ホールのフェアウェーバンカー手前左の林帯の木を間伐し、日陰を減らした結果、芝の密度が上がり、大きく改善されました。こちらも引き続き優先順位をつけ、間伐及び枝払いを継続して参ります。
スプリンクラー不足によるアプローチ部分の不良に関しては今期スプリンクラーを増設することにより、改善されました。
この夏には他のコースにはないフェアウェイのコンディションだったとお褒めの言葉をいただきました。
さらなるクオリティアップのため、ティイングエリアは8mm、フェアウェイで10mm以下での刈込を目標として参ります。
■ラフ
ラフに春の立ち上がりの悪い部分があり、原因が明確でなかったのですが、改良日本芝(エルトロ)という、種類の違う芝が混在していることが判明しました。
エルトロの特徴は、より低温の気候に適した芝で野芝の中に混入した場合、春先の立ち上がりが極端に遅くなるため、ラフの生育にムラが起きておりました。
エルトロはノシバに混在している状態では薬剤による選択的除去は出来ないため、土壌と共に根を除去し、野芝に張り替えを計画していますが、面積も広く作業に時間が掛かることから、今後中期的な計画を立てて野芝への張替えを行って参ります。
■フェスキュー
大規模なフェスキュー播種はすでに完了しました。今後はフェスキュー内の美観を維持するため、雑草の除草を行うことと、除草で対応できない部分は、ナーセリー造成箇所の外側にフェスキューのナーセリーを作り、張替え作業をできるようにして参ります。
■コース管理職員
近年、コース管理スタッフの不足が大きな課題となっており、人材確保のため、給与単価や労働環境の見直しを実施いたしました。また、他のゴルフ場では得られない作業方法、施肥施薬の適切な使用方法、管理機械等の使用も含めスキル習得の機会提供し、職場の魅力を向上させて新規雇用の向上と既存スタッフの流出防止を防いで参ります。
目標とするコース管理人員数は、正社員15名、パート15名の計30名体制であり、現在正社員4名、パート2名が不足しております。
今後もさらにコースの品質を向上し、クラブの価値を高めるため、芝の張替え工事や、エアレーション等行ってまいります。一時的に一部使用が制限される、プレー中に管理作業と出くわす場面などあるかと思いますが、メンバーの皆様のご理解を賜れますと幸いです。
コース管理統括部長
滝ケ平大介