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Vol.1 事業報告

事業実績と見通し

「クラブ」設立と設備投資

2015年(平成27年)5月に株式会社東京クラシックを設立し東京クラシッククラブ(以下、「当クラブ」といいます)は創設されました。

当クラブでは、建物とコースに63億(表1 クラブ開発費用内訳)、その他設備やITシステムなどの有形無形の資産への投資に7.8億、累計70.8億円の設備投資を行ってきております。なお、この設備投資額は、経年劣化などに伴う修繕費用は含まれておりません。

これに加え、株主メンバー制度を取ったことによる金商法対応等の費用、株主募集に掛かった費用が約4.3億円、大型台風による被害の復旧に1.5億円を要しており、これらの合計額は76.6億円となります。

一方で、株式会社東京クラシック設立時の出資金および株主メンバーによる出資が56.7億円、自己株式の売却による新規募集時の追加出資が2.1億円、合計58.17億円の出資金と19.8億の入会金収入の合計で77.79億円を調達しました。さらに2022年4月期の長期借入金の残が13.8億円、総合計91.87億円を調達しています。(表2 投資と調達のバランス)

結果として2022年4月期の出資金および入会金収入の調達額77.97億円により、初期投資および初期コストの76.6億円を賄い、長期借入金の残高13.8億円とほぼ同額を現預金で保持している状態です。開業当初は出資金、入会金収入では初期投資および初期コストの支払いができなかったため、32億円の長期借入を行い、これらの支払いに充てておりました。開発当初の投資が落ち着き、一定の運営収益を確保できるようになったことから、余剰となった借入については返済し、現在の長期借入金残高となっております。



「クラブ」運営方法とコスト

当クラブでは、運営を株式会社クラシック(以下「CL社」という)に委託しております。業務委託費の年間支払額は、概ね4億円程度で推移しておりますがこの内訳は人件費をはじめとした販管固定費と売上に応じた業務委託報酬となっております。(表3 務委託費と入会金収入の推移)

表3のとおり、入会金売上が多い年度において、業務委託費の支払が増えております。これは、入会金収入のうち40%をクラブ開発費用として分割してCL社へ支払っているためです。

2016年4月期ではメンバー数92名、総出資額11億であったことからできる限り当クラブの初期負担を減らすことと、資金の社外流出を抑えることを目的に、当クラブの建物・コースの開発費である63億円のうち、55億円を土地建物の購入代金として支払い、残りの8億円を入会金の40%として超長期的に分割してCL社に支払うスキームといたしました。

計画当初の予想を上回る勢いで当クラブのレピュテーションは上昇したため、入会金単価を引き上げさせていただくことができましたので、計画よりも早い2022年4月期で開発資金63億円分の支払いを完了しております。

上述以外にもCL社に対し運営収益に応じた成功報酬として、ゴルフ場運営部門の入会金収入を除く営業利益に減価償却費を加算した額について、1億円までの部分の20%、1億円以上2億円までの部分の25%、2億円以上の部分の30%をお支払いしております。成功報酬に関して過去7年間の支払実績は、年平均約1,500万円となっております。(表4 CL社への業務委託費のうち、実費分を除いた支払の推移)

上記以外の業務委託費については当クラブスタッフの人件費およびそれに付随する販管費を実費で支払っております。



「クラブ」事業の運営状況および成果

コロナ禍に伴いゴルフ場業界は活況を示し、当クラブも例外ではなく昨年は30,000名を超える来場者をお迎えすることができました。改めまして、厚く御礼申し上げます。

当クラブは、「世界基準のプライベートクラブ」を標榜し、「メンバーだけがティーアップタイムを確保できる」、「早朝から午後まで幅広い時間帯でのプレー可能なスタート枠の設定」等、これまでに実現されていないプレースタイルにチャレンジしてまいりました。しかし、その結果として、特定のスタート時間帯の希望が集中し、ツーサム利用が多くの枠を埋めている一方でメンバー枠は埋まりにくく、午後のスタート枠の利用率は低迷しております。さらに、北海道クラシックゴルフクラブや他のグループコースに比して天候理由のキャンセル率が非常に高いことなどの要因により、2020年4月期までの年間最高来場者は25,000人に留まり、想定の来場者数が確保できませんでした。加えて、2019年9月の台風15号による甚大な被害の影響により2020年の来場者数は21,847名と激減し自然災害や予期せぬ外部環境に運営状況が大きく左右されてしまいました。

2020年以降の直近2年間は、お陰様で、年初こそ新型コロナウイルスの感染拡大の影響をうけたものの、ゴルフが数少ない屋外でのアクティビティとして活況を呈したことから、2021年4月期は29,265名、2022年4月期は30,912名の当初計画の来場者となり(表5 来場者および1メンバーあたり入場者数推移)、漸く黒字を計上することができました。(表6 入会金、マネジメントフィーを除いたPL推移)一方で、30,000人の来場者となったことで新たな課題として、予約が取りづらくなったなど皆様にご不便をおかけする事態も顕在化しております。(表6 入会金、マネジメントフィーを除いたPL推移)




財務基盤の確立に向けて


当クラブでは、2041年4月期にはすべての長期借入金を返済可能と計画しております。

しかし、今般の物価高騰による営業経費支出の増加、および必要人員確保のための人件費支出の増加を想定した場合、当期利益水準は当然に減少することになります。このことは返済額を不変とした場合に現預金を取り崩して返済を重ねることになることを意味しております。

巡航速度で年間28,000人程度の来場者をお迎えしつつ、健全なメンバーの入退会による年7件程度の名義変更を前提とした場合、2042年4月期の現預金残高は約14億円となる想定ですが(表7 コストアップ反映前の収支予測)、営業経費、人件費の増加を勘案した場合では同金額はマイナス約2.2億円(表8 コストアップ反映後の収支予測)となります。

販売管理費の増加に対応することができず、赤字に転落してしまう事は、外部環境に左右されるゴルフ事業において適切な内部留保の確保ができなくなり、不測の事態において金融機関からの借り入れも困難にしてしまいます。

メンバー皆様の快適なクラブライフを維持・向上するためにも、年間を通して安定した収益の確保が必要不可欠です。今後も来場者の推移を注視し経済情勢等の外部要因も考慮しつつ、皆様と必要な施策の検討を重ねて参りたいと考えております。




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