Course Maintenance
- MOVE
- 2024年12月1日
- 読了時間: 9分
更新日:2024年12月23日
当クラブが目指す「国際基準の洗練されたプライベートクラブ」実現のためのゴルフ場コースメンテナンスの改善方針を以下にご説明差し上げます。
すべての施策実施には、コース管理スタッフ約9名の増員、人件費に換算して約3,400万円/年、ランニングの経費増約2,240万円/年、追加投資に約3.3億円を見込んでおります。
これらの投資及び人員増による施策の実施計画をニクラウス社のアドバイスをいただきながら立案しております。メンバーの皆様には2024年12月末までに実施計画を共有し、2025年1月頃から施策を実施していきたいと考えております。
コース改善の過程で、メンバーの皆様にはご不便をおかけすることもございますが、「国際基準の洗練されたプライベートクラブ」の実現のため、ご理解、ご協力いただけますと幸いです。
グリーン

造成直後の管理ノウハウ不足により、透水性の悪い砂の層ができてしまったたこと保肥力(床の肥料を保つ能力)が低いことがクオリティの低下を招いている。
グリーンの状態と対策(グリーンの現状)

グリーンの状態と対策(これまでの取り組み)

エアレーション、ムク刃、スパイキングには、不良層を少しずつ取り除き、不良層の上層部にある優良層を増やしていく効果があります。
2021年から現在までで、優良層が2~2.5cmから、3.5~4cmに増えています
グリーンの状態と対策(今後の取り組み)

2025年以降
●エアレーションの穴の直径を大きくし、より多くの不良層を取り除く
●エアレーション、ムク刃、スパイキング時に散布する砂の量を増やすことにより、優良層をより多く生成していく
これらを実施することにより、不良層の除去と優良層の生成を加速させていきます。
ティーグランド
排水不良個所の改修工事はほぼ終了(一部残あり)
刈込回数を上げることで、芝の長さをより安定させ、常に均一な状態を提供

フェアウェイ
刈込回数を上げることで、芝の長さをより安定させ、常に均一な状態を提供
さらなる品質向上にむけ、刈高を下げるには、不陸を修正する必要がある

フェアウェイの状態と対策

不陸がある状態では、刈高を短くすることができない
↓
目砂を行うことで、不陸をなくしていく
↓
刈高を短くすることが可能になる
ラフ
造成時、芝生不足であったことから、一部違う種類の芝生が張られている
刈込回数を上げることで、芝の長さをより安定させ、常に均一な状態を提供

フェスキューエリア
“笹”を除去するための有効な管理方法を模索中

その他
バンカー
◯バンカー周りの芝生
・刈込回数、施肥回数の増加
◯バンカー砂の入替
・造成時に使用した砂が入手できなくなった。
・粒径を合わせると色が異なるため、景観を保つためには、バンカー砂をすべて入れ替える必要あり。
◯バンカー砂の補充
◯定期的な形状維持の工事
練習場
◯打席部分の施肥及び刈込回数の増加
・刈込のため、クローズ日の増加(月、金の午後→月、水、金の午後へ)
◯年1回のエアレーションによるコア抜き及び目砂の実施
コース管理棟増築
◯各施策の実施のためのコース管理スタッフの増員に伴うコース管理棟の増築
5ヶ年コストサマリー

詳細なご説明は以下をご覧ください。
■グリーン
現状、スピードが出にくい、グリーンが硬くならない、特に降雨時及び降雨後、グリーンがやわらかくなるという状態です。
主な原因は2点あります。一つは、グリーン表面から2cm下に約2cmにある、砂の粒径が小さく、そろってしまっている層があることです(以下「不良土壌層」といいます)。これは開業後数年間、作業効率を上げるために、本来使用すべき砂より、粒径の小さい砂を散布したことが原因です。この層があることで、水がこの層に滞留し、芝生の根がこれより下に伸びにくくなっています。また、本来は大きな粒径の砂の隙間に、細かい砂がはいることにより硬い土壌となりますが、粒径がそろってしまっているため、土壌が柔らかくなってしまします。
もう一つは、グリーン土壌の保肥力(散布した肥料を、土壌に残留させる能力)が低いことです。保肥力が低いと、肥料を散布しても、時間の経過により肥料の効力が早くに減少してしまいますので、芝生が思うように成長しません。これは、造成当時に、保肥力を上げるための資材の投入が不足していたこと、造成直後に適切な施肥管理ができていなかったこと、が主な原因です。
不良土壌層の影響を取り除くためには、エアレーションの頻度を増やし、USGA基準に適合した砂を散布し、グリーン表面から10cm程度まで、不良土壌層の上に優良な土壌の層を作っていく必要があります。
すでにここ数年、年3回のエアレーションによるコア抜き(4月(8mm),6月(6mm),10月(8mm))、年1回のムク刃によるエアレーション、年4回程度のスパイキングを行い、の優良な土壌を作ってきました。これをさらに加速させるため、コアリングのタイミングはこれ以上増やせませんが、コアリングの径を4月(12mm),6月(8mm),10月(8mm)に増やし、また、ムク刃によるエアレーション(年1回9月→年2回7月9月)、スパイキング(年4回→年10~13回)の頻度を増やし、不良土壌層をできる限り取り除き、その上に優良な土壌の層を積み上げていきます。5年間で約5cm、10年間で約10cmの優良な土壌の層を目指します。
保肥力の向上についても、これまでも刈込頻度の増加、肥料の適正化により、数年前に塩基置換容量が1以下であったものが、現在2程度まで上昇しております。こちらもさらに肥料のコントロールと、刈込頻度を上げることにより、5年程度の間に3.5~4とすることを目標にして参ります。
これらに加え、水の適切な散布のために、スプリンクラーの配置変更や、グリーン周辺にはみ出したベント芝を高麗芝に戻していく作業等を行い、更なるグリーンの品質向上を目指してまいります。
エアレーションの増加、目砂の増量、刈込頻度の上昇のために、4人工の増加、人件費概算で年間1,600万円、砂や肥料等の資材の増加で年間約400万円が継続的に追加で必要となり、スプリンクラーの配置変更に3,000万円、はみだしベント芝の張替えに1,000万円を予算しております。
■ティー
開業当初、水はけが悪く、降雨時や降雨後にティー面に水が溜まるところが散見されましたが、該当部分の水はけを良くするための追加工事を行い、一部を除き解消されており、多くのティーでは、肥料、目砂を増やし、刈込頻度を上げていくことができる状態となっております。今後の品質向上のため、2人工の増加、人件費概算で年間800万円、砂や肥料等の資材の増加で年間約120万円を予算しております。
残っている排水不良個所についても、順番に土壌改良工事及び暗渠排水工事を行って参ります。これらの工事に約1,000万円を予算しております。
■フェアウェイ
現在フェアウェイは、一定の良好な状態をご提供できております。今後更なる品質アップを目指すため、刈込回数をトップシーズン週2-2.5回/週から4回/週に増やすこと、刈高を現在の12mmから10mm下げること、を目標とします。
刈込回数を上げることにより芽数が増え、プレーする時期によるFWの状態の差を一定の範囲内に抑えることができます。刈込回数をあげるためには、FW刈込機械の増台、人員の確保、施肥の増量が必要です。
また、10mmで刈込をするためには、現在ある不陸をなくす必要があり、そのために目砂をコアリング後の1,500cc/㎡の1回に加え、不陸の多いところに対し、スポットで1,000cc/㎡(対象面積はFW16万㎡のうち、約3~4万㎡)の目砂を行います。目砂を増やし、凹み部分をかさ上げすることにより、より平らになり、10mmでの刈込が可能となります。
これらの作業のために、2人工の増加、人件費概算で年間800万円、砂や肥料等の資材の増加で年間約400万円、不足している芝刈機の購入に約2,500万円、排水不良個所の暗渠工事に約2,500万円を予算しております。
■ラフ
芝生の育成状態としては、よい状態を維持できております。しかしながら、一部本来なら野芝であるところ、種類の違うエルトロという改良型の野芝が存在しています。これにより、春先にはエルトロの部分の活性が遅く、野芝部分が緑色になっているのに対し、エルトロ部分がまだ茶色い状態が発生します。見た目だけでなく芝生の状態が違う部分が存在している状況です。また、エルトロのほうが野芝よりターフ形成(広がり)が早いので、放置すると、エルトロの部分が増えていく可能性があります。
造成時に全国的に芝生が不足しており、種類の違うエルトロが混入したことが原因です。ラフの状態を均一に提供するためには、エルトロ部分を野芝に張り替える必要があります。すべてのエルトロ部分を張り替えるために、約4,500万円、肥料の増加で年間約180万円を予算しております。
■フェスキュー
台風被害により倒木したコース間の部分から、降雨時に砂がラフやフェアウェイに流れ込むことを防ぐため、フェスキューエリアを拡張しました。フェスキューエリアには、コース景観上、人工物(カート道)を隠す役目もあります。
フェスキューエリアは管理に手間がかかることと、プレー上難易度が上がりすぎることもあり、不要な部分を決め、野芝に張替えを行います。
フェスキューエリアとして維持する部分では、笹をはじめとする雑草の対策を進める必要があります。
野芝への張替えで総額5,000万円、除草業務の外注費で年間400万円を予算しておりますが、フェスキュー内の笹の除去方法が確立されておらず、さらに追加コストが必要となる予定です。
■バンカー
バンカー内の砂の量を保つために、砂の補充を充分に行う必要があります。 バンカー周りの芝生については、部分的に擦り切れることが多い、乗用の刈込機械の使用ができない、バンカー砂が多く散布された状態になる等、特殊な状況であることから、手作業での芝刈や、特別な肥料管理が必要です。
造成時に使用した砂が入手できなくなり、同じ砂で補充ができません。粒径を合わせると色が異なるため、バンカーの砂をすべて入れ替えることで景観を保つことができます。
また、バンカーは定期的に形状維持の工事が必要です。
砂や肥料等の資材の増加で年間約150万円、バンカー砂の入替で約4,000万円、形状を一定に保つオーバーハング工事に1,600万円を予算しております。
■練習場
現在の芝打席をできるだけ長い期間お使いいだくため、打席の芝生の活性を高める必要があります。施肥及び刈込回数の増加と、年1回のエアレーションによるコア抜き及び目砂を行います。
刈込回数の増加のため、現在月曜日及び金曜日の午後練習場をクローズしておりますが、クローズの日程を週1回程度増やす必要があります。ご協力宜しくお願い致します。
これら作業のために1人工(パート)の増加、人件費概算で年間200万円、を予算しております。
■コース管理棟増築
上記各施策の実施のためのコース管理スタッフの増員に伴うコース管理棟の増築のため、約3,000万円を予算しております。